不動産のような競争が激しい業界では、不動産業者がデジタルマーケティングのリソースを活用することが不可欠です。その理由とは? 競合他社に差をつけるために見込み客を作り、それを新規顧客に転換する必要があります。その前に、市場で主導権を握るための、キーポイントを押さえていますか? この記事では、これからの顧客の期待に応える効果的な不動産業界のマーケティング戦略を活用できるようになるための、キーポイントをご紹介します。
この記事は、マーケティング・コミュニケーションのコンサルタントで不動産会社 GDNO Sàrlの設立者ガブリエレ・デルヌンツィオ氏がホストを務めた、2021年4月28日のウェビナーを基にしています。ガブリエレ・デルヌンツィオ氏はスイス不動産協会(USPI)のマーケティングの教授でもあります。ウェビナーの録画をご希望の方は、お気軽にご連絡ください。
1.パワフルなブランドイメージを築く
信頼が基盤になる環境では、不動産業者としてのプロ意識やあなたのアイデンティティー、価値観を反映するブランディングが、より重要になります。ブランドイメージによって、あなたの信念や価値観、顧客のために何ができるか、などを顧客に示すことができます。ですので、顧客に向けたメッセージを慎重に考慮しなければいけません。
それには、簡単かつ的確な行動が功を成します。コンテンツをよく考え、それに合ったグラフィック、またストーリーを伝えることで、他社に格差をつけることができます。
2.ターゲット市場を知る
マーケティング戦略を練る際には、ターゲット市場とその特性に合わせる必要があります。独身者に対して、子供のいるカップルと同じようなアプローチはしません。
ガブリエレ・デルヌンツィオ氏によると、ターゲットを定義する4つの主要基準があります:
- 地理的要因(国、地方、都市、地域など)
- 人口統計的要因(年齢、性別、教育、職業、収入など)
- 心理的要因(ライフスタイル、社会階級、人格など)
- 行動様式要因(使用頻度、期待する効果、購入意思、忠誠心など)
これらの基準は、迅速に潜在的な買い手や売り手のプロフィールを把握し、彼らの物件の要望に対し、的確に対応するために役立ちます。
また、不動産業務では大きく4つのターゲット分類できます:
- 子供がいない独身者
- 子供がいないカップルあるいは子供がいない共働きのカップル
- 子供がいるカップル・夫婦
- 複数人の世帯
このようにマーケティング戦略は、これらのカテゴリーに合わせながら、メッセージは上記の主要基準に沿って細かく調整します。
3.透明性が高く、スムーズなデジタルエクスペリエンスを提供する
ターゲット市場で様々なオンラインの習慣がある場合、提供するデジタルエクスペリエンスにおいても、市場の個別のニーズを考慮しなければなりません。アナログ世界でのプロとしての知識・経験レベルは、最適なデジタルエクスペリエンスの質を確保するためには、とても重要です。またこれは、ターゲット市場の顧客の意思決定に大きな影響を与えます。
つまり顧客に対して、あなたのサービスと物件に関する、明確で詳しい情報を提供しなければいけません。このコミュニケーション方法は、状況やブランディングのターゲットによって異なりますが、常に透明性が高く、わかりやすいことが求められます。特にスマホやノートブックからアクセスできることが大切です。端末を選ばず、どのページからも、いつでも簡単に必要な情報にアクセスできなければいけません。
アドバイス: 既存の顧客や専門家に、あなたのビジネスページに関する意見を聞いてみてください。探していたものが見つかったか? サービス内容を理解してもらえたか?
さらに、革新的な機能を活用することで、市場のリーダーとしての立場を確立できます。例えばパンデミック発生後、不動産業界では、バーチャルツアーがほぼ不可欠な機能として定着しました。3D Swiss Viewや Viktorなど3D画像の「不動産ストーリー」の作成に特化した会社は、ターゲットグループの関心を集めて、市場でのあなたの認知度を高めてくれます。この種のサービスを活用することで、競合社との差別化を図り、不動産物件をアピールしながら、提供サービスの質向上につながります。
4.ソーシャルメディアのプラットフォームを選択する
潜在的顧客は購入プロセスに入る際に、最初のステップとして、会社の評価と信頼度をインターネットで調べます。ガブリエレ・デルヌンツィオ氏によると、ユーザーは不動産業者の信頼性を確認するために、80%がグーグルを活用するそうです。
Google My Businessツールを使えば、あなたのイメージを管理し、将来の顧客に好印象を与えることができます。経歴やストーリーによっては、自社のウィキペディアのページを作成することもできます。
最初に活用するSNSの選択は、店舗の活動環境を考慮しましょう。法人か個人、どちらが主な顧客ですか? これで選択がしやすくなります。
ユーザーコミュニティーの規模から、Facebookは必須のプラットフォームです。LinkedIn(B2B)やInstagram(ブランディングとビジュアル)などの他のネットワークも選択肢として面白く、ターゲット層に適したコミュニケーションスタイルのSNSを選択してください。Twitterは、スイスではあまり一般的ではなく、他のネットワークを選んだ方が良いそうです。
尚、ガブリエレ・デルヌンツィオ氏は大切なことを付け加えています: 「ソーシャルメディアのプラットフォーム管理は時間がかかり大変なことを配慮してください」
ターゲット層の大きなシェアが期待できるプラットフォームに絞ることがベストで、時間の節約にもなります。たくさんのプラットフォームに分散してイメージダウンになるより、付加価値が高い一つか二つのSNSに絞ったほうが得策です。
5.メッセージをチャンネルに最適化する
ターゲット層に合ったチャンネルを決めたら、SNSによるマーケティング戦略・メッセージもそのターゲット市場に合わせ、構築してください。
「適切なメッセージを、適切な時に、適切なチャンネルで、適切なターゲットに発信する」ガブリエレ・デルヌンツィオ
つまり、同じタイプの製品やサービスでも、発信するコンテンツマーケティングのメッセージは、FacebookとLinkedInでは異なります。メッセージのインパクトを最大にするには、ブランドイメージを守りながら、各ソーシャルメディアの違いをよく見極めます。
実際の例: Instagramを使ってコミュニケーションする場合は、投稿する画像の品質が重要です。急いで撮った低品質の写真は一目瞭然です。Instagramで目指すことは、高品質のコンテンツ(インフォグラフィック、メトリクス、動画など)で視覚的に目立つことです。
もう一つの例: FacebookやTwitterは、LinkedInの文章スタイルと同じではいけません)。LinkedInの文章はフォーマルですが、Twitterでは短く、くだけた文章が好まれます。
LinkedInやFacebookは、ユーザーに対して動画やライブ配信などの機能活用を勧めています。
ハッシュタグは多くのSNSで一般的で、特にTwitterやInstagram上のオンラインマーケティングのキャンペーンによく使われます。
6.見込み客転換率を向上させる
不動産業界ではデジタルマーケティングは重要な要素ですが、関心集めるためだけの手段と誤解しないでください。不動産業界のプロは、デジタルマーケティングを、積極的に連絡を取る手段として活用しています。
コンテンツを作り、明確でわかりやすい不動産会社のウェブサイトを作成し、そのサイトのSEO上の可視性(SEO ‐ 検索エンジン最適化)を高め、ウェブ上でもっとアピールしましょう。質の高いコンテンツやお問い合わせフォームを設定することで、連絡や商談をさらに取り付けましょう。これは見込み客の「コンバージョン率(転換率)」と呼ばれています。
不動産業界のマーケティングを実行するにはもちろん一定の柔軟性や投資、時にはマーケティングプランの変更も必要ですが、最終的には収益を大きく伸ばせます。
不動産業界のマーケティングは長いプロセス
あなたの価値観を反映するマーケティング戦略を確立すれば、競合他社との競争で優位に立てます。さらに不動産ビジネスを営む上で、成功に向けての焦点が定まります。このようなマーケティングプランで、新規顧客の開拓が効率的になります。パワフルなブランドイメージによって、将来の顧客があなたを容易に識別でき、結果として、あなたを市場を率いる立場に持ち上げてくれます。
貴重なアドバイスをいただいた ガブリエレ・デルヌンツッォオ氏に感謝の意を表します。