見込み客開拓が重要なのは周知の事実だが・・・
見込み客開拓(プロスペクティング)には様々な手法があります。従来からの定番手法を好む不動産業者もあれば、デジタルツールを活用する業者もあります。また、その両方を組み合わせるやり方もあります。不動産業界として自社や顧客にとってベストな方法を探り、目標達成に最も適した方法を見極めることが重要です。
見込み客開拓(プロスペクティング)に着手した不動産業者がまず直面するのが、以下のような疑問です。
- どこから手を着けたらよいか?
- 最も一般的な方法とは?
- 優先順位の付け方は?
- どのツールを利用すべきか?
今回の記事で、これらの疑問にお答えしたいと思います。
そもそも不動産プロスペクティングとは?
不動産プロスペクティングは、脈のある見込み客をできるだけ多く発掘する作業です。本稿では、持ち家の売却を検討している売主にどう働きかけるかを説明します。
どれだけ見込み客を獲得できるかは、自社のサービスを周知させる能力にかかっています。見込み客が多ければ多いほど商談も多くなり、成約数も増えます。これは不動産業界だけではなく、他のすべての業界にも当てはまります。
先見性のあるアクションこそが、不動産プロスペクティングの鍵を握ります。
戸別訪問、コールドコール(アポなし電話営業)、ダイレクトメールといった、いずれの営業方法も、認知度を高め、見込み客を獲得し、成約数を増やすのに役立ちます。様々なやり方を試しながら、自社に最も適した方法を選ぶとよいでしょう。それぞれの方法の詳細については、後ほど詳述します。
まずは、前もって行うべき準備から説明したいと思います。
見込み客の発掘に着手する前に足場固め
1. 地元の人脈づくりと関係維持
ご存じのように、不動産業者として、地域を熟知するのは当然のことです。これは建物や地域についての知識だけにとどまりません。なによりも、人間関係を築くことが重要です。不動産業者として地位を築くには、地元で人脈を築き、それを最大限に活用することが欠かせません。
では、どのようにして人脈を築いたらいいのでしょうか?
これには、地域の行事やネットワーキングイベントに参加し、地元商店・飲食街の店主の集まりに顔を出すなどの方法があります。その際に注意すべきなのは、新しい商機を探すためだけに参加しているのではなく、本当に地域に関わり合いたいという意欲を示すことです。もちろん、ビジネス対象エリアの住民であるということは大きなプラスになります。
次に人脈の活用方法について説明します。
自分の存在をためらわずにアピールしましょう。それから知り合いに積極的に問い合わせてみましょう。長期的に見れば、口コミは必ず威力を発揮するはずです。あなたに信頼を寄せる事業主や地元住民は、新しい開発案件があれば教えてくれ、知人や隣人に御社を推薦してくれるでしょう。とにかく、地元のネットワークを大切にすることです。どんな推薦状よりも価値のある信用が得られます。
2. 見込み客の実態を探る
PriceHubbleからのアドバイス:
対象エリアの特徴を調べましょう。メッセージやマーケティング戦略を住民のプロファイル(平均年齢、子供のいる世帯/退職者、若い専門職/学生、富裕層/低所得層など)に応じて調整します。
- メッセージ:見込み客によってニーズ、目的、期待が異なります。
- マーケティング戦略:成功する不動産業者は、見込み客の特徴に応じたコミュニケーションチャネルを選びます。
何よりも重要なのは、不動産売買の見込み客に対して、自社の付加価値、専門知識、地域に関する深い知見をアピールできるような、意義ある情報を発信することです。それこそが信頼関係を培うための早道です。
不動産プロスペクティング手法の選択肢は?
従来型の方法
地元に人脈を築き、見込み客の実態を把握する準備が終了したら、後はアクションを起こすだけです。
従来型の手法としては、 まず現地訪問が思い浮かびます。個別訪問やポスティング(チラシ投函)のことです。皆さんにとっても馴染み深い方法ではないでしょうか。
名刺を片手に、いざ現地へ。笑顔も忘れずに。
事業を立ち上げるときや、自社、ブランド、提供サービスを新たに紹介するときには、従来型は格好のアプローチです。結局、見込み客があなたの存在を知らなかったら、サービス利用について問い合わせることもないでしょう。あなたのサービスを今、必要としていなくても、後から連絡してくれる可能性があります。
営業ルートを回り、住民と言葉を交わすうちに、見込み客についての十分な情報を収集したら、電話またはテキストメッセージによるプロスペクティングの段階に進むことになります。
しかし、これをもっと早い段階から始めてはいかがでしょうか?特に、自動化アプローチは従来の手法を置き換えるものではなく、営業力の拡張として捉えるべきです。
考えてみれば、そもそも言うべきことが分からなかったら営業の仕事を自動化することはできません。この単純な事実を見落としている不動産業者は多いものです。まず、見込み客が抱えている問題を十分に理解する必要があります。これがあなたのビジネスに大きく役立ちます。
他にどのような見込み客の創出方法があるかの話に戻しましょう。
電話による営業(別名コールドコール)は、オンラインで脈ありと判断した見込み客や戸別訪問で絞り込んだ見込み客にアプローチするのに最適な方法です。
テキストメッセージを使用したプロスペクティングについては、その量的な効果を裏付ける数字があります。メッセージ開封率が90%以上であり(かつ、受信後すぐに開封されている)ことを考えると、見込み客を発掘するのに優れたツールです。
デジタル・プロスペクティングとは?
メール・プロスペクティング
デジタルプロスペクティングはより最近に使われ始めたものですが、営業目標の達成には非常に効果的な方法です。
メールによるアプローチ(メール・プロスペクティング)は、最も効果の高い方法の一つです。対象を正しく絞れば、メールキャンペーンは大きな成果をあげることができます。
一言メモ:時間をかけて、件名とメール本文冒頭の文章を練りましょう。次に手短に内容をまとめ、受信者に行動喚起します。これにはウェブサイトの閲覧、電話連絡、オンラインで予約するなどの行動が考えられますが、一つのアクションだけに絞るようにします。ネットで公開されているメールの雛型も沢山あります。
デジタル・プロスペクティングはメール送付だけで完結するものではなく、実際にはそれよりもずっと早い段階から始まっています。
不動産マーケティング戦略の策定は、見込み客の効果的な獲得につながります。ブログ更新、SNSマーケティング、オンラインでの無料査定サービスの提供なども、見込み客獲得のために活用できる対策の一つです。その際、信頼性の高い査定ツールを選ぶように注意しましょう。査定ツールのなかには、信頼性に欠けるのも少なくありません。
ブログ記事やSNS投稿を通じて、自らが持つ専門知識を宣伝することができます。自分の業務内容や差別化要因を伝えることができ、そして何より重要なのは、これらは見込み客が24時間年中無休でアクセスできる情報リソースだということです。営業時間外でも、見込み客は検索であなたを見つけ、公開されているコンテンツを読み、問い合わせできます。これが新規の見込み客になります。
以上がデジタル・プロスペクティングにおけるインバウンド・マーケティングの概要です。
常に透明性を
透明性を武器にして、潜在顧客が情報を十分に集めた上での意思決定を行えるように、必要とされるすべての情報を提供します。
情報の量(と質)を高めることで信用をアップ
なにより、情報量の増大は意思決定を早める
見込み客に対して市場の詳細情報をオープンに伝えることで、取引業者としての信頼獲得に繋がります。
例えば、類似物件の価格や貸料、周辺地域の詳細、近隣施設について信頼性のある情報を見込み客に併せて提供すべきです。これにより、業者として口先だけではない確かな知識があることが見込み客に伝わります。
見込み客が本当に関心をもつ情報、具体的には価格、物件の広さ、近隣地域の傾向、建築中の類似物件、物件価格の動向などに焦点を当てることで集客を図る、新たなデジタルツールも続々と登場しています。
アプローチを組み合わせて自分に最も合ったものを見つける
本稿では従来型の手法を説明するとともに、メールやテキストメッセージによるプロスペクティング、さらにはブログ記事やSNSを使ったマーケティングなどのデジタル手法のいくつかをご紹介しました。
これらのアプローチを単独で適用しても効果はありますが、見込み客発掘の各段階でこれらを組み合わせることにより、効果は大きくアップします。
デジタル手法が従来型の手法に勝るというものではなく、またその逆も然りです。最も優れた不動産業者とは、見込み客に応じてハイブリット型のアプローチを採るというのが当社の考えです。
自分に合った組み合わせを見つけるには、実験を重ねることです。オリジナルアプローチを編み出してください。
プロスペクティングに適したタイミングは?
答えは至ってシンプル。いつでも適しています。
他の多くの業界と同じように、不動産ビジネスには季節的な変動があります。
例えば、フランスでは夏休み中の引越しを計画する家族が物件を探す4月から6月に、不動産市場はピークを迎えます。冬が終わって春先から陽気がよくなると、見込み客の住宅購入マインドも向上します。買主も売主も不動産関連の取引を進めたいと考える時期です。
時期に左右されずに獲得コンタクト数を最大化するため、一年を通じて土台づくりに努めることが重要です。コンタクト数を増やし、見込み客のベースを拡大しておくことで、後から「ダイレクト・プロスペクティング」の手間が減ります。今日できることを今やれば、明日やらずに済むというだけの話です。
見込み客と人間関係を構築
第一段階のプロスペクティングが完了しても、やるべきことはまだ沢山あります。実はスタート地点に立ったばかりです。
新たに獲得した見込み客は、実際に面識のあるレベルから、電話で話した、またはウェブサイトを閲覧しただけのレベルまで接触度に差異があり、必ずしも同じ「価値」を持つものではありません。
見込み客のなかには、既に売却を検討している売主もいます。これらの潜在顧客をしっかり掴んで離さないことが重要です。
残りの見込み客については、さらにフォローし続けなくてはなりません。その後、数週間で成果が出ることもあります。しかし、往々にして数ヶ月、時には数年をフォローアップに要することもあります。そのような場合には、見込み客を見逃すことのないように、システム的なフォローを行う必要があります。このプロセスを自動化するツールが数多く出回っています。
フォローアップとプロスペクティングの優先順位を決めるのに、営業部員が使用できる効率的な方法があります。それは、「脈ありと判断された」見込み客だけに手間と時間をかけるというものです。あなたの情報網に引っかかった見込み客がいるはずです。あなたのブログを読んだ見込み客、またはウェブサイトから査定依頼をした見込み客かもしれません。あるいは実際に会ったことがある、あるいは数年前に物件を売却したことがある見込み客という可能性もあります。
根気と忍耐力が求められる見込み客開拓
以上をまとめると、最も効果的な見込み客開拓方法は、従来型とデジタルの手法を組み合わせたものだといえます。
自社に最も適した組み合わせを見つけ、使用することで見込み客のニーズを理解できます。見込み客のことが理解できれば、彼らのニーズに応じたプロスペクティング戦略を策定できます。さらに、この知識は面談のアポを取るのに役立ちます。実際に顔合わせをすることで、あなたは売買に関わる信頼できるプレーヤーとして認められ、契約に向けて動き出すことができます。